協力隊インタビュー
| INTERVIEW |
多文化共生 太田裕子
「通訳者」として丁寧に声を拾い上げる
—4年前のご縁をもとに、陸前高田で育む多文化共生

世界での経験を地域の活性化へ
JICA海外協力隊としての経験を持ち、これまで宮崎県での噴火災害ボランティアや、東日本大震災の現地コーディネーターとして被 災地の支援に深く関わってきた太田さん。フードコーディネーターの資格も持つ彼女は、「人口減少が進む地域で、いかに多様な文化を受け入れ、共に生きていくか」を、自身のキャリアと食への関心を軸に考え続けてきました。4年前に陸前高田で中心市街地の賑わい創出に携わった「縁」を経て、再びこの地へと戻ってきました。
自分らしく育む陸前高田での多文化共生
現在の主なミッションは「陸前高田市国際交流協会」の事務局運営です。
市内および近隣自治体に住む外国人の方向けの日本語教室の運営や、交流イベントの企画・運営を通じて、地域に住む外国人と市民が自然に繋がる場を作っています。
その他にも、市とJICAが締結している連携覚え書きに基づき、当市で地域活性化について学ぶ海外協力隊候補生の受け入れ窓口や、 地元の中学校・高校での国際理解教育(出前授業)のコーディネートなどを担っています。
「多文化共生は、最終的には『胃袋(食)』で繋がることだと思っています。世界各国の食文化を通じて、お互いを理解し合える活動を広げていきたいです」
既存の枠組みや取り組みを活かしながら、いかに陸前高田らしく、自分らしく、この地域に多文化共生を育めるかが協力隊での挑戦だと言います。

誠実な対話で向き合い、架け橋を担う
新しいポジションだからこそ、時にはお互いの役割や目的を丁寧にすり合わせていく難しさに直面することもあります。しかし、太田さんは「対話」 を大切に、真摯に組織や地域と向き合っています。
「新しい取り組みだからこそ、まずは活動記録をしっかりと残し、客観的な事実をもとにチームの方々と丁寧に対話を重ねることを意識しています。そうして一歩ずつ、組織としての協力体制や自分の立ち位置を確立していきたいですね」
外部から来る人々と市役所の間に立ち、中立的な「通訳者」として丁寧に声を拾い上げる。
その誠実な姿勢が、地域の多文化共生を実質的に進める鍵になると信じています。

4年前の縁と、新たな生活への挑戦
4年前、JICA海外協力隊候補生として陸前高田で活動していた時期に知り合った人たちとのご縁が、今の活動の大きな支えになっています。
「当時は中心市街地での活動がメインでしたが、これからはもっと視野を広げて、市内の様々な方々とも繋がりを作っていきたいと思っています。車で自由にどこへでも行けるようになるのが直近の目標です(笑)」
かつてお世話になった地域の方々への恩返しの気持ちを抱きつつ、今の陸前高田の美しい景色や温かい空気を楽しみながら、日々活動を続けています。

多文化共生の土壌を耕す
活動を継続するためには、心身の健康と生活基盤の安定が不可欠です。現在の快適な環境に感謝しながら、日々の生活を整えています。焦らず、しかし着実に。太田さんは、多文化共生のプロになるべく自身の専門性を磨きながら、地域おこし協力隊として陸前高田に多文化共生の芽を育んでいきます。
編集後記
「食は万国共通の言語」— 太田さんの語る多文化共生は、理屈ではなく温かい食卓から始 まるような、そんな手触り感のあるものでした。組織の中での葛藤を抱えながらも、専門家としての自負を持って誠実に向き合おうとする彼女の強さが、陸前高田に新しい風を吹き込み、多様な人々が共生する土壌を耕していくのだと感じました。(文・地域おこし協力隊サポートチーム)
PROFILE | 太田裕子 |
年齢 | 51歳 |
着任年月 | 2026年4月 |
出身地 | 東京都 |
前職 | JICA海外協力隊/ジョージア国料理隊員 |
趣味 | 食を通じた交流、ズンバ(挑戦中) |
今の仕事内容 | ・多文化共生分野隊員として国際交流協会事務局運営、および、市内での多文化共生推進に関する取り組み |