協力隊インタビュー
| INTERVIEW |
水産振興 西城 俊行さん
地域と「一緒に考える」
— ブルーカーボンと省力化で挑む、水産業の新しいカタチ

水産業から地域の活性化を目指す
元宮城県職員として約30年にわたり水産技術職を務め、観光振興やプロスポーツ支援、大手コンビニとの包括協定締結など、地域を盛り上げるための幅広い行政実務を経験してきた西城さん。宮城県職員を務めた後、南三陸町の地域おこし協力隊を経て、陸前高田へやってきました。
前職からこれまでも、「人口減少の中でどうすれば地域の文化を残していけるのか?どうすれば地域は元気になるのか?」を水産業に携わりながら考え続けてきたと言います。
2つのミッション—Jブルークレジットと省人省力化機械導入
現在の主なミッションは2つあります。1つは「Jブルークレジット」の認証に向けた活動推進です。広田湾で養殖されるワカメが大気中の二酸化炭素を吸収する量を第三者機関が測定・認証し、その吸収量を企業に販売する仕組みです。今後、大学などとも連携しながら算定方式の確立を進めていく予定です。
「吸収量を企業に購入してもらい、その収益を漁業者の施設維持や販売促進に還元できれば、と考えています。」
もう1つは「省人省力化機械の導入支援」です。漁業は人手が必要な労働集約型の産業でありながら、地域の人口減少の影響で人手不足が常態化しています。そこで、省人省力化機械を導入することで、少ない人手で産業を維持していくことを目指す取り組みです。
この補助金の活用に向けて、市の水産課や漁協担当者とともに漁業者への聞き取り調査を行いながら、導入の準備を進めています。

「やってあげる」ではなく、「一緒にやる」
協力隊として最も気を配っているのは、地域との向き合い方です。
「外から来た人間が『こうすればいいんじゃないですか』と先走ると、地元の人からすると余計なお世話になってしまいます。まずは聞くことしかできないと思っています。」
市役所と漁業者の間で中立的な「橋渡し」役を担うことが自分の立ち位置。地域の人が市役所に直接言いにくいこと等を丁寧に拾い上げ、双方向の通訳を果たしていきたいという思いがあります。
地域に入り込み、地域の人から想いを聞く中で、この地域の課題と向き合っていく。これまでの人生経験からこのことが重要だと感じています。
40年前の活気と、変わらない魅力
お隣の気仙沼市出身ということもあり、高校時代は震災前の陸前高田にも遊びにきていたという西城さん。40年ほど前、この街には確かに活気があったと振り返ります。
「当時は鉄道も走っていて、駅から5分のところに映画館がありました。その頃スターウォーズがやってたんですよ。高田松原もすごく景観が良くて。40年前ぐらいかな、活気があったと思います」
一方で、変わらない魅力も多いといいます。
「街並みは大きく変わりましたが、今も景色が綺麗で、空気が美味しくて。岩手の沿岸でこれだけ平地が広がっているのは珍しいですよね。都会的な喧騒が無く、何もないのが、むしろいいと感じています。」
これまでの陸前高田を知る1人として、今の陸前高田に向き合い、これからの陸前高田に向けて活動していきます。
健康を第一に、地域の懐に飛び込む
様々な想いや活動をこれから実現させていく上でもまずは健康が第一です。
「最近、市役所に紹介してもらった地域の野球チーム『陸前高田ビッグスターズ』で野球をしてるんです。また、できるだけ階段を使うようにもしています。」
野球チームへの参加は、地域コミュニティに入り込みたいという思いの表れでもあります。今後は伝統文化や食文化、お祭り、ボランティアといった地域の営みを守る活動にも積極的に参加していく予定です。
地域おこし協力隊として、人と人が繋がる場に積極的に身を置きながら、西城さんは今日も地域の懐に少しずつ入っていきます。

編集後記
「やってあげる」のではなく「一緒にやる」—その言葉が、西城さんの軸になっていることを感じ、その姿 勢が今後この町の漁業を変化させていく源になるのだと思いました。「一緒にやる」とは、地域で活動する全ての人にとって参考にすべき心構えであり、簡単なようでとても奥深い言葉だと思います。(文・地域おこし協力隊サポートチーム)
PROFILE | 西城俊行さん |
年齢 | 60歳 |
着任年月 | 2026年4月 |
出身地 | 宮城県気仙沼市 |
前職 | 宮城県職員、南三陸町地域おこし協力隊(水産技術職) |
趣味 | 野球、大型バイクツーリング、世界の政治経済ニュース視聴 |
今の仕事内容 | 主に漁業課題を解決するための活動を行っています。具体的にはJブルークレジット申請業務や省人省力化機械導入のための補助金申請業務に取り組んでいます。 |