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協力隊インタビュー

| INTERVIEW |

道の駅高田松原 熊谷亮太さん

家族とともに根を下ろす
─陸前高田で見つけた“自分らしい働き方”

家族との時間が価値観を変えた


 「この1年は、人生そのものが大きく変わった一年でした」 


 そう語るのは、陸前高田市の地域おこし協力隊として道の駅で働く熊谷さん。

前職は全国転勤のある大手小売業で、数字や成果を最優先に働く毎日だった。

長時間労働の末に帰宅は深夜、家族との時間は限られていた。


  「転職してからは、平日でも家族と晩ご飯を囲むことができるようになりました。

子どもと過ごす時間や、家庭で役割を持てるようになったことが本当に幸せで、生きがいを感じられるようになったんです」

 

  ワークライフバランスの実現は、何よりも価値のあるものだと気づいたという。


Uターンという決断


 転職の背景には「家を持ちたい」という夫婦の夢があった。

全国転勤が前提の暮らしでは、どこに根を下ろせばいいのか定められない。

年齢や子どもの成長を考えれば、決断のタイミングは限られていた。


  「見えないリミットに追われるような感覚がありました。

そんなときに、地元・陸前高田で地域おこし協力隊の募集を知ったんです。

両親の近くで子育てができる安心感もあり、夫婦で相談して決めました。」 


 勇気のいる一歩だったが、地域に帰ることで家族にとっても心強い選択となった。


「人と深く関わる」働き方へ


 前職でも小売業に携わっていたが、大きく違うのは“関わる人との距離”だ。 


「転勤を前提とした仕事では、どうしても関係が一時的になりがちでした。

でも今は、この地域で何十年も一緒に過ごす人たちとの前提で関わっています。

だからこそ、一人ひとりの事業者さんの思いやビジョンを理解しようと意識が変わりました」

  

 売り場づくりにおいても、事業者と協力しながら企画やイベントを進めていく。

最初は戸惑いもあったが、今ではその協働こそが喜びだという。




苦労から学んだこと


 「入る前は自分で売り場をどんどん作っていけると思っていました。

でも実際には、テナントごとに権限があり、提案ベースで進める仕事が中心だったんです」

  当初はイメージとのギャップに悩んだ。

しかし、複数の事業者と対話しながら新しい形を作っていくことに面白さを見出した。


  「自分ひとりで動かすのではなく、協力しながら一つの方向を目指していく。その過程にやりがいを感じています」


暮らしと地域への思い


 来月には新居への引っ越しを控えている。

これからは地域の行事や町内会、子どもの学校を通じた保護者会など、暮らしそのものが地域に根づいていく。 


 「七夕まつりにも参加したいですし、地域の活動に積極的に関わっていきたい。

子どもがワクワクしている姿を見て、自分も地域にもっと入り込もうと思いました」 


 Uターンだからこそ見える地域の姿もある。

震災を経て新たな挑戦を続ける商店や飲食店を見て、それぞれの想いに心を動かされている。


これからの挑戦


 2年目以降の目標は明確だ。


 「陸前高田の顔となる売り場をつくりたいんです。

海産物や果物は近隣の市でも有名ですが、道の駅で“これが高田の代表だ”と言えるものはまだ少ない。

事業者さんと一緒に、シンボルとなる売り場を育てたい」


  震災を象徴する一本松のように、訪れる人に「ここにしかない」と感じてもらえる場所をつくること。

それが熊谷さんの次なる挑戦だ。



編集後記

 震災後も新しい挑戦を続ける店や人に感動しながら、熊谷さん自身も「地域に長く関わる前提」で働く日々を積み重ねています。

地元に帰る決断は簡単ではない。


 それでも自分と家族にとって“無理のない、穏やかな暮らし”を選んだ熊谷さんの姿は、こ

れから移住や働き方の見直しを考える人への力強いヒントになるはずです。

(文・地域おこし協力隊サポートチーム)

PROFILE

熊谷亮太さん

年齢

35歳

着任年月

2024年10月

出身地

岩手県

前職

ホームセンター店員

趣味

息子と遊ぶこと、道の駅めぐり

今の仕事内容

道の駅高田松原のスタッフとして、接客や売場の作成・管理、新しい企画やイベントの立案の業務を行っている。


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