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【体験記 前編】 地域おこし協力隊 空き家バンクインターンシップ

日本各地を旅し、自分自身の生き方を模索してきた、山形大学4年の馬場さん。これから「地域に関わりたい」「空き家活用に興味がある」と考えている皆さんへ彼が伝えたいこととは。

【インターン体験記 前編】

「町に貢献する」その前に、まずは「住み着く」ことから。陸前高田の空き家バンクインターンで感じた、空き家の現状と人との関わり方



岩手県陸前高田市で、2週間にわたり「地域おこし協力隊インターン」としてNPO法人高田暮舎の空き家バンク業務を体験してきました。日本各地を旅し、自分自身の生き方を模索してきた私にとって、この期間は「地方創生」のイメージとは違った、学びに満ちた時間でした。

この記事では、私が現場で見たリアルな課題や、地域と人との関わり方についてお伝えします。「地域に関わりたい」「空き家活用に興味がある」と考えている皆さんへ、このインターンだからこそ得られる価値と魅力をお届けしたいと思います。






暮らすように滞在する。海沿いのシェアハウスと温かい人々に囲まれた豊かな時間




今回のインターン期間中の滞在先は、以前からお世話になっていた、陸前高田に移住してきた人たちの暮らすシェアハウスにしました。ここでの暮らしは、都会とはまったく違う、のどかで贅沢な時間です。

朝は窓から差し込む心地よい太陽の光でゆっくりと目が覚めて

毎日違った顔をみせる海を眺めながら車で出勤

帰ってきたら各々自分の時間を過ごす住民と話しながらご飯を作り

晴れた日は満天の星空を見ながら一日を終える


毎日その日をただただ消化するのではなく、大切に、かみしめるように過ごしていました。





陸前高田の星空は流れ星まで見れる



そんな日々の暮らしの中で、陸前高田のご飯はやっぱり大好きです。都会だと高いと言われがちな海鮮ですが、この町では新鮮なものを安く食べることができます。


特に印象的だったのは、牡蠣とウニです。休日に地元のウニ剥きのお手伝いに行かせていただいたのですが、その場でいただいた獲れたてのウニの味はまさに絶品。朝食として持ってきていたおにぎりもいただいたのですが、ウニをのせたおにぎりはこの場でしか味わえない、超贅沢な朝食でした。




ウニ!!!!!



「5つ入り」と書いてるのに7つ牡蠣を付けてくれることもある町のごはん屋さん


また、業務の合間や休日には、空き家を活用して経営されている古本屋さん「山猫堂」や、美しい海、町を一望できる展望台、そして以前お世話になったお店へと足を運びました。かつて出会った町の方々へ「お久しぶりです、また来ました!」とご挨拶に伺うと、誰もが温かく迎え入れてくれるんです。この変わらない温かさこそが、陸前高田の1番の魅力ですね。







まちづくりの「最前線」を学ぶ。空き家バンク業務のリアルと見えない壁


インターンに参加する前、私が参加した動機は「空き家の残置物の活用やリノベーション」などを考えていました。全国には空き家を購入してゲストハウスをされている方、格安で手に入れてゆっくりと生活されている方、残置物を回収してアジア向けに輸出されてる方…。色んな方を見てきて、自分にも有効な関わり方を探していました。 

しかし現場で知ったのは、「物件そのものは綺麗で魅力的なのに、周辺環境や付帯する課題が多くてマッチングが進まない」という複雑な構造でした。

・家は綺麗だがりんごの木が数十株セットで付いてくるから管理できる人が限られる

・アトリエがついてるけど光熱費や駐車場はどうするのか

などなかなかスムーズにいかない物件ばかりです。

ただ情報を掲載するシステムとして回すのではなく、こうした細かな「環境のミスマッチ」を売り手・買い手の間に立って紐解いていく。そして、町の人たちと地道に信頼関係を築きながら丁寧に進めていく仕事なのだと、現場だからこそ学べます。



「システム」ではなく「信頼関係」で回る現場の重要性と課題



さらにこのインターンでは、地方のまちづくりが抱える「組織と現場の構造的な課題」を深く考察する機会も得られます。

本来空き家バンクの役割としては、空き家を売りたい人から依頼を受けてサイトに情報を掲載・管理するのが主な仕事です。作業内容はある程度マニュアル化され、空き家活用に興味のある人が仕事をこなしながら自分好みの空き家を見つける。そのような流れを考えていると思います。それに対し、現場が大切にしていたのは地域住民との圧倒的な信頼関係です。

空き家という個人の財産や思い出を扱う以上、信頼を得ながら少しずつ話を進めていくのが不可欠な仕事です。同時に、現場が土地の管理や解体の相談にまで親身になりすぎると、業務範囲が曖昧になり、限られたスタッフのキャパシティを超えてしまうというジレンマもあります。こうしたリアルな現場課題に触れ、最終報告会で自分なりの提案を形にできることは、他では得られない実践的な経験になるのではないでしょうか。



町へのアプローチの仕方で自分の「やりたい」と「適性」が見えてくる



この2週間では地域の方々や多くの移住者とお話する機会をいただけました。その中で、私は「町に関わるスタンス」について大きな気づきを得ました。町へのアプローチには、大きく分けて2つのやり方があります。


①自分がやりたいことを、その町を舞台にして実現しようとするやり方

②町の人たちの中に飛び込み、彼らと一緒に悩みながらものを作っていくやり方


「誰かのため(町のため)」に行動している人は、町の人から見るとありがたいこともありますが、どこか「外部の頑張ってくれている人」に見えることもあります。しかし、「自分のため」に行動していて、結果的にそれが町のためになっている人は、不思議と「町の人(当事者)」に見えます。このインターンを通じて、自分がどちらのスタンスで地域に関わりたいのか、自身の適性がはっきりと見えてくるはずです。



おわりに…大切なのは、ただ「ここにいること」



少子高齢化や地域離れが進む現代では、「地方創生」や「地域貢献」という言葉が華やかに飛び交っています。それは自分のやりたいことを比較的始めやすい場所でもありますし、現代の働き方として憧れを持つ人も多いのではないでしょうか。しかし地方が求めていることはもっと手前にある、シンプルで本質的なことだと思っています。

何より一番大切なのは、「ただそこにいること」。そして「そこに住み着くこと」。まずは自分がその町で暮らし、生活を営み、日々の何気ない営みの中で町の人たちと関わっていく。その積み重ねの先にしか、本当の信頼関係も、心地よいまちづくりも生まれないと感じています。

「こっちに移住しないの?」陸前高田に2週間滞在していて、おそらく一番言われた言葉だと思います。何をするのか、はそれほど重要ではないのかもしれません。



陸前高田の地域おこし協力隊インターンは、自分のやりたいこと・できることと、町が求めていることのギャップを冷静に見つめ、自分自身の未来を描き直す最高のフィールドです。まちづくりに興味がある方、地方での暮らしを体験してみたい方、ぜひ陸前高田へ足を運んでください。温かい方々が皆さんをお待ちしています。


<プロフィール>

馬場 貴大 2001年生まれ。

福島県須賀川市出身。山形大学理学部理学科4年。在学中にヒッチハイクで日本各地を巡った後、休学してカンボジアでの長期インターンやモバイルオーダー関連の仕事を行い、自分の今後の生き方を模索中。

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地域おこし協力隊インターンの詳細・募集内容はこちら

https://www.rt-chiikiokoshi.com/

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【編集後記】

学生のころから、陸前高田市に通っていたという馬場さん。今回のインターン期間では、実際に地域が何を求めているのか、自分が地域にどのように溶け込めるか、どのように関わりたいかを実際の現場で向き合い真剣に考えてくれたことがすごく嬉しかったです。仕事だけではなく、プライベートの休日期間でも地域の方との関わりや自然を堪能したりと、この2週間をフル活用していただけたことは 、移住のイメージを膨らませるにはとても有意義な時間だったのではないかと思います。ご自身の人生選択の一つとして、タイミングが合えばぜひ、また帰ってきてほしいなと思います。(地域おこし協力隊事務局:永井)


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